
プロレス界の“ゴールデンスター”飯伏幸太(33)が、所属していたDDTと新日本プロレス両団体を退団することが21日までに本紙の取材で分かった。史上初の2団体所属選手として活躍したが、昨年10月から長期欠場。DDT3・21両国大会で復帰するが、同戦から事実上フリーとして活動を再開する。業界に激動が続く2016年は、飯伏にとっても新たな挑戦の年となる。
プロレス界の激動が収まらない。複数の関係者の話を総合すると、飯伏は2月末でDDTと新日プロ両団体との所属契約を解除し退団することを決断。3月から事実上のフリー選手として活動していくことが分かった。
04年にDDTでデビューを果たし、中心選手として活躍。新日プロでもIWGPジュニアヘビー級王座を獲得するなど一気にスターダムを駆け上がった。13年10月からは新日プロとも所属契約を結び、業界初の2団体所属選手となった。近年の「プロレス女子」ブームの中心的存在として高い女性人気も誇った。
一方で生活は多忙を極め負担も大きかった。昨年10月に頸椎椎間板ヘルニアにより長期欠場に突入。また公にはされていなかったが腰にも異変を感じており、腰椎すべり症の診断も受けていた。これらの負傷は現在までに完治しており、すでに医師からも復帰のゴーサインが出ている。
しかし、復帰を考えた際に今後も2団体所属選手として活動していくことには、肉体的にも精神的にも限界と判断したようだ。重圧も多く「2団体所属は想像以上に負担が大きかった。単純な2倍ではすまないものがある」と近い関係者に漏らしていた。欠場中ほとんど公の場に姿を現さなかったのも、精神的に疲弊しきっていた側面がある。
さらに従来のスタイルに関して「やり切った」と思うようにもなった。これまでにない新たなプロレスの可能性を追求したいという思いが強まったことで、両団体を“卒業”。「飯伏プロレス研究所(仮名)」を立ち上げて独自の活動を行っていく方針を固めたようだ。
すでに両団体とも退団を了承している。DDTはフリー初戦となる復帰戦の舞台に3月21日の両国大会を用意。飯伏はエニウェアフォール3WAYマッチで、伊橋剛太と組んで高木三四郎、葛西純組、KENSO、中澤マイケル組と対戦する。
もう一方の所属団体である新日プロとしては、1月末に退団し米国・WWE入りが確実視される中邑真輔(35)に続く退団者となる。外国人選手のWWE移籍も相次いでおり、激動はここに極まった感すらある。とはいえ「新日本も飯伏選手の新たな挑戦を見守る立場」と語る関係者もいることから、タイミングを見て参戦オファーがあるとも見られる。
DDT両国大会以後の活動は全くの未定となっているが、マット界で独特のスター性を持つ飯伏の需要は決して少なくない。国内外から注目が集まりそうな気配だ。
屈折した性格とは裏腹に、飯伏がかねて口にする「プロレスをもっと広めたい」という思いには純粋なものがある。ゴールデンスターが、理想を追い求めて自由の空を飛び回る時が来た。
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