人名用漢字に「渾」追加 司法判断を受け法務省
改正戸籍法施行規則を施行、計863字に
法務省は25日、人名用漢字に「渾身」の「渾」の1字を新たに追加し、計863字とする改正戸籍法施行規則を施行した。子どもの名前に「渾」を使った出生届を自治体に受理されなかった親が、家庭裁判所に不服の申し立てをした結果、受理を命じる判断が確定したため。司法判断を受けた追加は2015年の「巫女」の「巫」以来。
戸籍法は「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない」と規定。使えるのは平仮名と片仮名、常用漢字(2136字)と施行規則で定める人名用漢字だけだ。
人名用漢字は、漢字の使用状況などを受けて見直しており、04年9月には法制審議会の審議を経て、「林檎」の「檎」などのほか、異体字も含め693字を追加している。今回のように親が裁判で漢字使用を認めるよう求めることもあり、勝訴確定で「巫」「穹」などが追加されたほか、逆に敗訴確定で使用が認められなかった「玻」のようなケースもある。
法務省によると、昨年9月に関東地方で生まれた子どもの親は「渾」の字を使った出生届が受理されず、いったん「未定」として提出した後、家裁に不服の申し立てをした。家裁は今年1月、「社会通念上明らかに常用平易な文字だ」として受理を命じ、自治体側が東京高裁に即時抗告。高裁も5月16日、家裁の判断を維持し、確定した。
確定を受けて法務省が7~8月、パブリックコメント(意見公募)を実施し、反対意見が出なかったという。〔共同〕