
【プロレス蔵出し写真館】12月11日、FMW―Eの鶴見青果市場大会で邪道・大仁田厚が試合後、西村修に「今度は藤波辰爾を連れて来い!」と呼びかけた。西村は「藤波辰爾、考えましょう」と返した。

ときおり、忘れたころ藤波にラブコールを送る大仁田だが、藤波と絶縁状態にある西村へまさかの呼びかけ。とはいえ、大仁田はかつて、まさかと思われた長州力とのノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチを実現させていて、期待(?)は高まる。

今から24年前の1998年(平成10年)、大仁田は現役を退いていた長州に対し、執拗に電流爆破マッチでの復帰を呼びかけていた。長州は「本気なら、ウチの事務所なり、会場に来てみろ。そんな度胸ねえだろ!」と逆挑発。11月18日、大仁田は新日プロ京都大会に要望書を手に乱入。控室から飛び出して来た長州と取っ組み合いになったが、そうそうに退散。
大仁田は「向こうからの返事に従ったまで。オレがいうのも何だけど、リングで(長州と)目が合った時に鳥肌が立った。あの迫力はとても辞めた人間のモンじゃない。オレのターゲットは間違ってなかったと確信したよ」。東スポの単独取材にそう答えた。
大仁田は翌99年1月4日の東京ドーム大会(佐々木健介戦)から、新日プロに参戦。それでも、「狙うは長州の首ただひとつ!」が決まり文句だった。そして、およそ1年半が経過した00年5月22日、ついに長州が現役復帰して大仁田と対戦(7月30日、横浜アリーナ)することが発表された。
対戦が決定した大仁田は、6月30日の新日本の神奈川・海老名大会に来場。電流爆破マッチでの対戦を望む嘆願書を渡そうと、試合前にリングサイドで練習中だった長州に近づいた。長州は「気でも狂ったのか」と一喝。歩を止めない大仁田に、「心配しなくていいぞ。30日(の試合)には行ってやるから。もう後は引けないぞコラ」と怒声を浴びせた。
大仁田は「そんなこと心配しとらんですよ!」と返すと、長州が「(フェンス内に)入るなコラ! 入るな! 入るな、入るなよ。またぐなよコラ! またぐな。またぐなよ、またぐな。またぐなよ絶対に」と続けた。
大仁田が「長州さんよ」と口をはさむと「まださん付けで呼んでくれるのか」(長州)。「オレは礼儀は守りたいんじゃ。アンタ、これ読んで返事して…」。大仁田の言葉をさえぎり、「またぐなよコラ。またぐな。またぐなよ。ケロ(田中秀和リングアナ)もらっとけ。またぐなよ、またぐな。(越中)詩郎またがせるな!」と〝またぐな〟の連呼。
この「またぐなよ事件」は、橋本真也との「コラコラ問答」と並んで長州語録として、あまりにも有名だろう。
さて、長州VS大仁田が決定したことに激怒したのは当時、UFO総帥だったアントニオ猪木。長州の復帰戦に小川直也を用意していた猪木は、大仁田戦をお膳立てした新日プロ関係者を宿泊していたホテルに呼びつけ、事情聴取した。
長州は「大体、これだけ動いて(会場、チケット発売等)中止なんてできるわけないだろ。やれるもんならやってみろって」と不快感をあらわにした。
結果的に、大仁田戦は行われ、一度も被弾することなく完勝した長州にファンは熱狂した。
ところで、大仁田は12年6月のリアルジャパン参戦時、藤波から「自分のレスリングをやる中で彼(大仁田)はリストにない。今後もないです」と生涯三くだり半を突きつけられている。
大仁田は西村に、「アンタには悪いけど、藤波辰爾が出てきたらアンタの5倍のギャラ払うよ」とマイクで告げていた。〝西村の5倍ギャラ〟は藤波に響くか(敬称略)。【プロレス蔵出し写真館】の記事をもっと見る